死ぬこととタバコの話

〈……どうして、なにも聞かないでからあげにレモンかけたの? からあげ洗える? からあげにレモンをかける、っていうのは「不可逆」なんだよ? もう二度と元には戻れないんだよ?〉
カルテット



主人公と迷惑住人のどうでもいいゴタゴタ
オチはまさかのちっっっせえ復讐
またどうでもいいもので時間をムダにしてしまった。




あなたともう一度会って話がしたいものです。俺の知らないあなたをもっと知りたい。いまの俺の現状を壊すキーをあなたが持っているのです。




わたしは死を左のポケットに入れて持ち歩いている。そいつを取り出して、話しかけてみる。「やあ、ベイビー、どうしてる?いつわたしのもとにやってきてくれるのかな?ちゃんと心構えしておくからね。」
チャールズブコウスキー



金を稼ぐことが全てだという人がいる。そいつは巨万の富を得て、ドバイに住み、馬鹿でかいビルの馬鹿でかい部屋に住んでいる。美人奥さんだっている。しかしそいつは狭い部屋のベッドの下でブコウスキーを読んでジェームズブラウンを聴きながらタバコを吸うという贅沢は知らないのだ。全ての世間と離れて恋人と一日中キスする贅沢も知らないだろう。そんなことを考えている俺の人生はあまりにも暇すぎる!




俺はこの雁字搦めのままで普通に就職し、結婚して子供が生まれ、勤めていた会社を定年退職し、老後にジジイバンドでも組んで、老人ホームにお世話になりながら死んでいくのか?死を左のポケットに入れて持ち歩いているのに?




首吊りと飛び降りが最も良い自殺方法ならばどっちを選ぶか?
首吊りは苦しくないらしいがやっぱり首伸びたり失禁したりするのか?失禁は本当にいやだけどいよいよ死ぬ時にトイレに行ったり断食したりする?最後の晩餐したらうんこになる前に死ぬのがいいか。しかし映画でもよく見るしヤリマンYouTuberが言ってたし首絞めプレイはいいらしいな。なんか気持ちいいのが脳から出るらしい。そんな幸福の中で死ねるってのはポイントだな。
飛び降りはスリリングだな。水泳の飛び込みのあの爽快感。あれが良くて水泳をやっていた気がする。背泳ぎだったけど。い落下する時スローになって空気と水の壁に突き刺さる感覚。空気のコンクリートでも同じような感覚だろう。それにジェットコースターで直滑降する股間を刺激するあの浮遊も加わってオナニーしながら2秒間の自由落下。
スリリングというのは違うな、字面がダサいし。



死ぬということに興味が高まっている最近の自分は今日も生きている。死神はいつどの状況の自分の肩に手を置くのか。気になって仕方がない。




誰かの手を煩わせて死ぬのも違う。やはり死ぬ時はひとりがいい。
保育園の頃からなにをしていてもひとり何かに没入する瞬間があった。ひとり焦点を合わせずボーッとすることが何よりの趣味であった。それが19になり一人ボーっとタバコを吸うのが1番の趣味になった。誰かと吸うタバコはあまり美味しくない。ケータイを見ながら吸うタバコも味を感じない。本を読みながら吸うタバコはナルシスト成分が含まれて美味いが本に集中出来ない。ひとり何も無いいつもの景色のどこにも焦点を合わせず何かに没入しながら吸うタバコが1番良い。美味いというか良い。
僕はどうせ死ぬまでひとりである。恋人ができようが子供が生まれようがどうせひとりなのだ。死ぬ時まで他人のことを考えながら死ぬのはゴメンだ。おれはおれがカッコイイと思うタイミングとやり方で自分の人生について思い返しながらその人生に自分で終止符を打つのだ。
やっぱりひっそり死ぬために樹海に行って首吊り仲間に会っちゃうのはちょっとやだな。変な虫に刺されて痒いまま死ぬのもやだし。グライダーに乗って岩場めがけて飛び降りるのはどうかな?空中散歩しながら走馬灯をゆっくり回してそっからダイブするのもよさそう。
なんか免許いるのかしら。

左ポケットから死を取り出して
「Hey , my baby! What's you doing?」
の感覚がちょっとだけ分かったかな。